甘く、溶ける、君に。



認めたくない気持ちなんかよりもう、心が叫んでる、きみを好きだって。


でも、だから。


認めた、認めたよ。私は今も昔も、千輝くんのことが好きでたまらない。




好きで、触れたくて、触れてほしくて、一緒にいたい。


だけど、忘れたい。絶対伝えない。




「……なんで忘れる必要あんの?」




田邊がどんな顔をしているかはわからないけど、穏やかに質問をしている声色ではない。


なんだろう、不機嫌、でもない。呆れ? とにかく前向きな感情で聞いてきていない。



「好きとかそういうの、今更言えるほど真っ当に生きてきてない」