甘く、溶ける、君に。



「えっと、それは……」


「まぁ、言わなくたってわかるよ? 朝、顔真っ赤だったし。

遥乃をそんな風にする人、一人しかいないでしょ?」



確信的に、ニヤリとした田邊。

この表情は確実にバレてる。
ホッチキス留めをし終わったプリントをまとめながら、彼は口を開く。



「俺で良ければ聞くけど? いろいろと」



そして私の机の上に積まれているプリントを半分ほど取って、言いながら作業を続行する。


返してもらおうと手を伸ばしたけど、こんな使い物にならない私より田邊に手伝ってもらったほうが確実に早く終わるから引っ込めた。


今度はぼーっとしちゃわないように、と決意して私もプリントに手をつける。