「本気になんなよ?ま、遥乃ちゃんになら本気になられても考える」


「ならないから安心してよ」



決して、本気にはならないけれど。

田邊も私も、言うなればお互い利用してるだけ。私は誰かに愛されたくて、田邊は自分の欲を満たしたいだけ。



何も変わらない。何も成長しない。何も生まれない。



だけど貴方が私を満たしてくれるなら、私は一生その関係に甘えてしまう。



そんな関係があっちゃダメかな?好きな人としかしちゃいけません、とか______一途に人を好きでありなさい、とか_______。



……ううん、私はこれでいいの。



田邊の顔に、手を添えて。

今度は私から、キスをした。