「私ね、瑛斗にぎゅってするのが一番好き」
「……他の奴にも言ってるくせに」
「言ってないよ。だって瑛斗が一番優しく抱きしめ返してくれる」
「……相変わらず遥乃の手のひらだよ、俺は」
ほらね、こうやって私の背中に手を回す田邊は誰より温かい。
寂しいの、愛されたいの。
私はただ、それだけ。
優しく頭を撫でてくれるのだって……私はそれだけで、いいのに。
「やっぱりこの家、寂しい」
「ん……でも今日は俺がいるし」
寂しい。一人は寂しいから、誰かしらと一緒にいたい。愛してほしい。
この部屋、広めの1LDKに一人住むのは私だけ。