軽く田邊の方を見ると、猫目でちょっとキツくみられる顔も緩んでいる。


茶色のふわふわした髪も相まって、なんだか猫みたい。



こんな顔は、絶対学校では見せない。


まぁだからといって、私だけが知ってる顔、というわけでもない。



「……ねぇ、田邊?」


「だから、二人でいるときは名前で呼べって何度も……」


「ごめん、瑛斗……んっ」



私が全部言い終わる前に、重なった唇。
軽いもので、一瞬で田邊の顔は離れる。


私の目に映る田邊は、まるで"もっと"とねだっているみたいで。


そんな田邊に、私はぎゅーっと抱きつく。