マリオン・オーブリーが好きだった。

 茶色の髪に茶色の瞳。
 そんなに目立つ女の子ではないのに。
 いつの間にか彼女と過ごす時間が楽しくて。
 俺は自分の気持ちに気付いた。



 最初は兄に頼まれたからだ。
 兄はマリオンの姉のジュリアと卒業後も続いていたが、学生の頃のように自由に会える訳じゃなくなった。

 それで入れ違いに入学した俺に、ジュリアへの
手紙を言付けた。
 彼女の妹のマリオンに渡してくれと。


 入学して少し落ち着いた頃、彼女のクラスに行って呼び出して貰った。
 知らない俺に呼び出されて訝しげなマリオンを
中庭に誘った。


 皆が俺達をじっと見ていた。
 この場で兄からの手紙なんか取り出したら、曲解されてどんな噂になるかわかったものじゃない。

 それならまだ、『ふたりで話した』程度な噂の方がマシだと思ったからだ。



 姉のジュリアからは、キーナンの話も聞いていないのか、と気付いた。

 それで俺が自己紹介を兼ねて、事情を説明すると、マリオンは納得したように笑った。