また夢を見た。

 何度も何度も見てしまう夢を見た。

 年々、その回数は減っているけれど。
 彼の夢を見て目覚めると、いつも私は涙を流している。 

 もう6年も経つのに、私は涙を流している。




 今夜は大学の頃のルームメイトのクレアと約束
をしている。

 彼女は大学を卒業すると、私の故郷のコーカスで仕事に就いた。
 コーカス出身の私が王都で職を得て、王都育ちのクレアがコーカスで働く事が決まって、私達はお互いの運命に笑った。
 そして卒業してもまた会おうね、と約束した。 
 それが今夜だ。


 仕事を早めに終えて、デスクを片付けて帰ろうとしたら、隣の研究室のスコットがやって来た。
 彼とは大学の頃からの付き合いで、お互いに遠慮がない。
 ジロジロ見られてズバズバ質問された。


「何で今日は女してるの?」

「女してる、って何?」

「何か服装が……フワフワしてる」

「……人に会うのよ」

「だからかー、誰と会うの? 男と?」

「うるさいよ、女よ。
 ルームメートだったクレア・バルモア、覚えてない?」