悪原くんは堕ちてくれない


だから許して欲しい。



ナルシストとか自意識過剰とか、言わないでよね。



ぜんぶぜんぶ、ほんとーのことなんだからさ。



「わ、これ可愛い…!芽梨に合いそう…」



私が好きなコスメブランドの棚を見てたら、ピンク色のグロスを発見。



パケも可愛いし、色もいい感じ。



さっそく試してみよっと。



テスターを手に取ってまずは手の甲に塗り、次に唇に塗ると、想像通りの色でテンションが上がる。



え、これ良すぎない?新作買っちゃったけど…。



「ねぇりっちゃん、これも良くない?」



ついりっちゃんがいないのを忘れて、結構大きな声で独り言を言ってしまった。



やば、もしかして今、痛いヤツ?



顔がかぁっと熱くなるのを感じて俯きかけると、人の気配を感じて思わず振り返った。



「声バカでけぇよ」



「っ…!?」



そこには、凄く顔立ちの整った私と同じ年くらいの男の子が真顔で突っ立っていて。



シルバーピアス2つくっつけてるのが特徴的。



な…なんなのこの人…!?



見ず知らずの他人の失敗をわざわざ指摘するなんて、いったいどういう神経してるわけ?



怒りで震えていたら、そのままその男の子はどっかに行ってしまった。