悪原くんは堕ちてくれない


「色々…って、たとえば?」



うわぁっやだやだ!顔がもうやだ!



りっちゃんの前だからこそ抑えてるニマニマした感情が、私にはくっきり見える。



これ絶対あとで何か言われる…!!



「りっちゃん何も言わ…」



「えーとね」



どれだけ嫌がっても、りっちゃんを止めることは私には不可能で。



「私に可愛いメイクして〜って頼んできたり、新しくピンクのセーターに買い替えたりー…他にもいっぱい努力してたの。ぜーんぶ悪原くんのためだよきっと…!」



瞳をキラキラさせて語るりっちゃんとは反対に、これ以上ない絶望感を味わっている私。



うん、公開処刑されてるよ今。



「…も、も〜りっちゃんったら恋バナ大好きなんだから〜!でも、全部がぜんぶ悪原くんのためってわけじゃないよ?」



羞恥心に耐えながら自分でフォローをし、なんとかりっちゃんにそう言い聞かせた。



「ふふっ、焦ってるめーちゃん可愛い〜。朝からいいもの見れちゃった♪」



りっちゃん、語尾に音符が見えるよ?



隠しきれていない生暖かい視線がゆるゆる刺さって、もう恥ずか死にそう。



そこに悪原くんがとどめを刺すようにニコリと(私にはニンマリに見えた)笑って。