悪原くんは堕ちてくれない


傷ついて終わる私じゃないよ。



「じゃーね、悪原くん。明日、校門前で待ち合わせだから。派手女のカレシ役、してくれるんでしょ?」



にっ、と口角を上げて悪原くんを見上げる。



「自分が嫌いなタイプのカレシ役を買って出るなんて、とんだ変わり者だね。あ、もしかして、実は芽梨のこと好きだったりして?嫌いは好きの裏返しってやつ?」



「は、何言って…」



「うわぁどーしよ、芽梨モテモテ?じゃ、そーゆーことだから!明日よろしく〜」



言い逃げるように走って教室に戻った。



悪原くんのムカついた顔、初めて見たかもしれない。



悪原くんのちょっと上を言った感じする。



これも一歩進展したんじゃない?



「よしっ、また明日も頑張ろ」



せっかく買ったセーターも、当分は着れないな。



残念だけど、しょーがない。



しばらくの我慢。



これも悪原くんを私のトリコにするための、作戦のひとつなんだから。