悪原くんは堕ちてくれない


「彼女さん、見つかるといいですねっ」



そして最後にニコッと笑いかけると、男性は一瞬で顔を真っ赤にした。



ふふっ、面白いなぁ。



「あ、ありがとうございます…っ…!」



そうとだけ言うと、早足で走り去ってしまった。



後ろ姿からでもわかるくらい耳も真っ赤っか。



彼女さんにどんな顔で合うんだろう?



でも、これでわかってくれたよね?



地毛の茶色い髪は緩く巻き、メイクは絶対欠かさない。



大きなパッチリ二重と小さな唇、たまにチラリと見える八重歯。



身長155センチという小柄な体型。



多分、世界中の女の子たちが羨む容姿をしてる。



ううん、多分じゃなくて“絶対”かな。



そう言いきれるくらい、自分が可愛いってことは自覚済み。



よく聞く無自覚とかって、ありえないと思うんだよね。



だってさ、小さい頃から言われてきたんだもん。



「可愛い」以外の褒め言葉、貰ったことないんじゃない?ってくらい、ほんとにそればっかり。



でも、飽きるなんてことは全くなくて。



どんなに言われても嬉しいものは嬉しいし、それと同時に自分でもわかっていくわけ。



「私、可愛いんだ」って。