悪原くんは堕ちてくれない


いつの間にかあっちに主導権握られ、その上キスまで奪われた。



“初めて”、だったのに…っ…。



「あーあ、泣いちゃった。かわいそ」



「っ…泣いて、ないし…。目悪すぎ」



きっと睨むと、何故か満足気に笑みを返す。



「朝と違うメイク、台無しだな?顔ぐちゃぐちゃだしグロスも落ちてる」



「…!!」



こいつ、気づいててわざとキスしたの…?



何も言わないけど、絶対そうだ。



「メイク変えれば、俺がドキドキするとで思った?」



「っ…!」



図星を指されて、何も言えない。




「自意識過剰すぎ。てか、そんなんで俺が落ちるとでも思ってるの?だとしたら相当おバカだね」



私、こいつの手のひらで転がされてた?



恥ずかしさと怒りと悲しみで、どうにかなってしまいそうになる。



「まぁ、頑張ればいいよ。どーせ無理だと思うけど」



でも、その一言で私のスイッチがカチッと入った。



ずっとずっと上から目線で、何様のつもりよ。



「…言っとくけど、芽梨はしつこいよ。地獄の果てまで追っかけてでも落としてあげる」



こうなったらもう開き直ればいい。