悪原くんは堕ちてくれない


恐る恐る振り返って確認すると、悪原くんが笑顔で私の真後ろに立っていた。



し、心臓止まるかと思った……。



「っあ、悪原くん…!もう〜びっくりさせないでよ!芽梨、心臓止まるかと思ったよ?」



あくまでも、私は普通に接する。



人の前だし、“可愛い仁科芽梨”を保っていたい。



そう、思ってるのに。



「そのまま止まっちゃえばいいんじゃない?」



「……………は?」



思わず口から出てきた一言に、今の感情が全て詰まってると言っても過言ではない。



今の聞いた?



「そのまま止まっちゃえばいいんじゃない?」って言ってたよ?



なに、私に恨みか何かがあるわけ?



「ここじゃなんだから、少し場所を変えようか。とてもめんどくさいけど」



「………」



私と同じように人の目があるからか、目が笑ってない笑顔でそう言った悪原くん。



本音漏れちゃってるけど?



「…そーだね」



とりあえず同意して場所を移した。



やってきたのは空き教室。



誰も使わないから人気もない。



「…で、俺に用があったんだろ?さっさと要件言ってくんない?」