星の降る夜、音のない世界で、君の声を

「……俺さ、耳聞こえないだろ?だからさ、音楽とかさ、流行りのやつ、TikTokとかも苦手なんだよね」

瞬は、左耳に髪をかけた。

「これ、じゃあ、うまく音程が拾いにくくてさ」

瞬の左耳には、私には見慣れない、補聴器が装着されていた。

「だからさ、こういう音のある世界が当たり前のやつが羨ましくてさ。でも……星ってさ、音がなくても楽しめるだろ?むしろ、音が無い方がいいってゆうかさ、誰も居ない夜空に俺だけが包みこまれる感覚と、静寂の中で光る星だけをただ眺めるって、すっげー贅沢だよな」

「あ、うん!すっごくわかる!私だけのプラネタリウムだなって、空を独り占めした気持ちになれるの」

瞬につられて、気持ちが高揚しながら、答えた私をみて、瞬も嬉しそうに笑った。