この嘘に、ピリオドを

「なら、これにしましょうか」

総司がそう言うと、父が「決まったのか?」と言いながら近付いてくる。母も指輪を見るのをやめて近付いてきた。

「はい、この指輪にしようと思います。心春さんが選んでくれました」

総司が二人に指輪を差し出すと、母が「嘘でしょう!?」と大声を上げる。嫌な予感がした。心春のその予感は的中する。

「こっちのゴージャスな指輪にしなさい!!」

何の飾り気もない安い指輪は総司が甲斐性なしだと思われてしまう、そう言い母はゴールドの指輪を指差した。花がモチーフになっており、派手である。

「心春さん、どうしたいですか?」

戸惑った様子の総司に訊かれ、心春は「好きにしてください。何でもいいです」と言い顔を逸らす。好きでもない人との指輪など、特別な気持ちがこもっているわけでもない。何でもいい、面倒くさい、そんな気持ちになっていたのだ。

宝石店を出た後は、都内でも人気の結婚式場を見学した。まるで白鳥のような白で統一された結婚式場を見た時、心春の頭には怪我をした白鳥を保護した時のことを思い出していた。