この初恋に、ピリオドを

総司が隣を見れば、心春はボウッとした目でガラスケースの中に入った指輪を見ている。心春はゆっくりと総司を見た後、「じゃあこれで」と指を差す。心春が指差したのは、シルバーのシンプルな指輪だった。そして、値段も宝石店に置かれた指輪の中で一番安い。

「えっ、もっと可愛いデザインのものたくさんありますよ?」

心春は可愛いデザインの指輪には目もくれず、「これでいいんです」とシンプルな指輪を見つめる。

「これとこれ、すごくいいな〜。迷っちゃう」

「こっちも似合いそうじゃない?」

店内には、総司たちの他に一組のカップルがいた。楽しそうに話しながら指輪をつけ、選んでいる。だが、心春の目には「婚約者と結婚指輪を選んでいる」という喜びは感じられない。どこか、諦めたような目をしていた。

(でも、指輪を選んでくれたし……。シンプルなデザインの方が好きなだけかもしれないよね……)

どんなデザインであれ、心春が選んでくれたことは素直に嬉しかった。総司は微笑み、口を開く。

「なら、これにしましょうか」