この初恋に、ピリオドを

降谷管理官と妻は謝った後、部屋の中へと入っていく。総司は玄関から動くことはできなかった。

バタバタと足音が響き、何やら揉めるような声が数分聞こえた。そして、降谷管理官と妻が心春の手を引っ張って玄関までやって来た。緑のワンピースを着た心春は「離して!」と泣き叫んでいる。久々に見た心春の姿に、総司が感じたのは喜びやときめきではなく、胸の痛みだった。

(本当に目の前にいる人は、春ちゃんなの?)

まともに食事を取っていないのか、心春の体はこの数日で痩せ細り、どこかやつれて見える。顔色も悪く、暗い目に元気はない。明るくいつも笑顔だった昔の心春には見えなかった。

「お前は結婚相手に迷惑をかけて、何を考えているんだ!」

「きちんと家事はしていたわ。それで十分でしょ?」

「何言っているの!?総司くんはあなたと話したり、出かけたいと思っているのよ。いい加減、駄々をこねるのはやめてちょうだい」

「お父さんもお母さんも、もう放っておいてよ!!結婚すればそれでいいんでしょ!?」