世間はゴールデンウィークが終わり、少しずつ切り替えて新学期にも身体が慣れ始めてきた。
春の名残をもたらす快晴が、過ごしやすさにきらめきを添えている。
ぐっと伸びをすると、空気のおいしさが感じられた。
「菜咲!」
「菜咲ぴーん!」
「桐生くん、天馬くん!おはようございますっ」
「あら菜咲ちゃん、あたしたちもいるわよ?」
「おはようございます、菜咲さん」
「南斗くん!杏珠ちゃんも…!」
「おまえら、体力とっておけよ?――…ここ、山なんだから」
「「「綺星!」」」
「綺星くん!」
駆け寄って来てくれた顔ぶれに安心しながらも、わたしは高揚感と緊張感の狭間にいた。
「園枝さん」
「はい!」
「絶対完全優勝な」
「もちろんです!」
学園長先生の私有地であるこの山々で行われる、幸星学園ならではの行事。
全校生徒700名が一堂に会し行われる――…“スターストーンハンティング”。
この山を舞台にスターストーンを見つける、大掛かりな宝探しだ。