◇
「以上でホームルームを終わります。みんな、今日も一日がんばってね!」
明るくて弾んだソプラノボイスが、まるで朝の始まりに華を添えているようだ。
沙雪先生の笑顔を見ると元気になるのは、クラス全員がそうだと思う。
「行動のトゥインクル、誰になるんだろうねー?」
「学園長もう発表したらいいのにな!俺、自分かと思うと夜しか眠れねぇわ!」
「お前は無い」
「しかもしっかり寝てんじゃねぇか」
近くで繰り広げられる会話に、自然と背筋が伸びる。
…学園長先生は別に隠さなくて良いと言っていたけれど、わたしは華乃ちゃんだけにひっそりとトゥインクルメンバーになったことを報告した。
そして華乃ちゃんも、学園集会まで誰にも言わないと言ってくれた。
秘密によって胸の鼓動が速くなる不思議な感覚を抱え、そっと長い息を吐く。
「……え、」
――…その瞬間、まさに一瞬だった。
横を通った神村くんが、わたしが無意識に両ひざに置いていた手に触れ、にこっと笑って通り過ぎる。
それから席に座ると、人差し指を唇に置いて微笑む。
急いで周りを見るけれど、誰も気づいていないようだった。
――…“俺たちだけしか知らないことだね”って、言われている気がした。
(…心臓、うるさ…っ)
こんなの
…こんなの。
ドキドキするに決まってるじゃない…!