何が。
そして誰がと聞かなくとも、彼は好きだったと言った。
その問いが伝わっていることが、何よりもの救いだった。
眉を下げて微笑んだ彼は、まるで何かを諦めているようで。
そこにわたしなんかが入る余地はないと言われている気がした。
想いを伝えて、そんな表情をさせてしまうのなら。…最初から伝えるべきではなかったとすら、思った。
「っ、わかりました!」
ねぇ、南斗くん。わたしも同じだったよ。
綺星くんに聞きたいことはいっぱいあるのに、これ以上彼に困った顔をさせたくないと思ってしまう。
本当はこれっぽっちも、納得なんてしていないのに。
「……ごめん、菜咲」
再度謝った彼に、心が音も無く崩れ落ちていく。
辛そうな声色だった。
「大丈夫です!わたしこそ急にごめんなさい。…びっくりしましたよね」
下手で不格好な笑顔だったと思う。無理に同意を求める自分が悲しく思えた。
「6人でいる時は、今まで通りの関係でいられるようにしますから!聞かせてくれて、ありがとう…ございました…っ!」
最後に閉じたトゥインクルルームの扉が
もう開けられない鉄のかたまりのように思えた。