◇
翌日。
“……夢なら、よかった”
“――…綺星、幸星フェスティバルを最後に退学する予定なんだよ。残念だったね”
たくさん考えた。
考えて、考えて、…頭の中がぐちゃぐちゃになった。
好きだと言ってくれた綺星くん。
…でも彼は、夢ならよかったと言った。
それはつまり、現実では違うということなのか。
甘い熱を共有した唇は、彼の中では夢物語になっている。
葉月先輩は言った。
綺星くんが幸星フェスティバルを最後に、退学する予定だと。
綺星くんがいなくなる。そんなの、考えたこともなかった。
「んもう、菜咲ぴん!聞いてるのぉ!?」
「あっごめんなさい!聞いてなかったです…」
「オイオイ菜咲、どうしたァ?寝不足かァ?」
「いえ、大丈夫です!すみませんっ」
いつも通り。
トゥインクルメンバーのみんながいて、笑い合って。
その日々が急に遠くなっていってしまうような、そんな気がした。