「はい」
「っ…、あの、綺星くんの友人の園枝と申します…!」
「あら!今行きますね!」
インターホン越しに聞こえてきたのは、女性の声。
…お母さまかな。綺星くん、熱は下がっていると聞いたけど、ちょっとでも具合が良くなっていたらいいな…。
「こんにちは、園枝菜咲さんね?」
「はい!こんにちは!」
出迎えて下さったのは、エプロンをした物腰の柔らかな女性。
微笑んだ表情がどことなく綺星くんの面影を感じる。
女優さんのような華と可愛らしさもあって、そのオーラに息をのんでしまった。
「これ、プリントです。先生から預かって来ました」
「ありがとうね、葉月が持って帰ってくればいいものを…。お手数かけてごめんなさい」
「と、とんでもないです…!」
なんだか話すのも緊張する。
失礼のないようにと思えば思うほど、胸の鼓動が速まっていった。
「どうぞ入って。お菓子を用意したのよ」