「まあ、俺なりの小さな反抗」




彼はふっと笑った。


謎は多いけど、なぜかこれ以上聞かない方がいい気がして私は質問を辞めた。




小さな反抗ね…




「…私も金髪にしようかな」


「何言ってんの、真面目な優等生が」


「優等生なんかじゃないよ」




根も葉もない噂を持っているのは一ノ瀬くんだけではない。

私もなんだ。




『叶野さんは一人が好きらしい』


『友達なんかいらないらしい』


『他校に彼氏が2~3人いる』


『親が有名な芸能人』


『高嶺の花すぎて近づきにくいよね』




なんて。


的を得ている噂なんかほとんどないのに。




「いいじゃん、高嶺の花」


「やだよ、私そんなんじゃないもん」





高嶺の花って言うのは綺麗すぎる女の人とか手の届かない人に使う言葉だろう。



私はどこにでも居るし手を伸ばせばすぐ届く女だ。


似合わないにも程がある。