(いつだって僕が欲しい言葉をくれるのはエイミーだけだ)
三年の間に彼女の存在はレオンにとってかけがえのないものになっていた。
真綿のように優しく包みこんでくれる愛が心地良い。いつだってあたたかく照らしてくれる、道標だった。レオンはスっと前を向いてアメリアを見つめる。
(どんなときも、エイミーに誇れる存在でいたい)
「エイミー、」
「はい」
陽の光を反射して、キラリと輝く瞳が宝石のようだと思った。この瞳を曇らせるようなことなど、あってはならないと思っていたのに。
「……っ、」
「?」
一世一代の告白。
僕には彼女しかいない。
改めて将来を誓い合いたい。
そう思ったものの、アメリアがあまりにも眩しくて、なかなか言葉にできない。
どうしたのかしらと不思議そうに首を傾げたアメリアは、そんなレオンの顔を覗き込んで目を合わせた。
(嗚呼、きっと兄上たちならこんなときもスマートに対応するだろうに)
生まれて間もない頃に側室だった母親を亡くしているレオンにとって、二人の兄の母親、つまりこの国の皇后陛下から疎ましく思われていることはよく分かっていた。
――出来損ないの忌み子。
それは皇后から放たれた、呪いの呼び名。
レオンにだけ聞こえるようにこっそりと耳打ちされたため、その呼び名を知る者は彼ひとりしかいない。
一国の皇子であるレオンにとって、あまりにも不名誉な呼び名は彼を苦しめるには十分だった。
レオンは何もしていないのに、ただそこに存在するという事実が皇后の機嫌を損ねたのだ。だから憎悪溢れる瞳で睨みつけられ、時にはいないものとして扱われる理不尽にもただ耐えるしかなかった。
その度に呼吸が浅くなるほど恐怖し、フラッシュバックして眠れない夜を過ごしたのは数え切れないほど。幼い彼は皇后の反感を買わないよう、完璧を演じられるように努力するしかなかった。
そんな彼が初めてそばにいてほしいと願った相手、それがアメリアだった。
この世の悪なんて知らない、純粋な瞳にすべてを見透かされているような気持ちになる。そうして、あの呼び名を思い出してしまって自己嫌悪。
彼女にだけはバレたくない。つきんと胸の奥が痛んで、眉間に皺を寄せればアメリアが口を開いた。
「レオン様、」
宝石の瞳にじんわりと涙が浮かんでいる。理由は分からないけれど、それを拭ってあげたくてレオンは指を伸ばした。
