そんな彼女の様子を見つめていた第三皇子は、最初の緊張はどこへやったのか、堅苦しい空気は終わりだと言わんばかりに半ば強引に手を引いた。
「ほら行こう、アメリア嬢と話したいことがたくさんあるんだ」
二歳歳上の婚約者――レオン・ヴェンネルベリは、きょとんと目を丸くするアメリアに向かって悪戯な笑みを零すと、庭園の真ん中に用意されたテラスへ彼女をエスコートした。
最初は緊張していたアメリアだったが、彼は第三皇子という身分をひけらかすような真似をすることもなく、二人の間にはただ穏やかな空気が漂っていた。
幼い年齢の割にやはり英才教育の賜物か、物腰は柔らかいのにユーモアがあって、観察眼が優れているからか、気配りも素晴らしい。彼が笑う度にプラチナブロンドの髪がさらさらと揺れる。あまりにも眩しくて、その煌めきからアメリアは目が離せなかった。
(こんな素敵な方と将来を共にするのね……もっと頑張らなくちゃ)
今のままでは彼に見合わないと、アメリアは内心奮起した。レオンに恥をかかせるわけにはいかない。笑い者にするわけにはいかない。
顔合わせは何の問題も起きず、平穏に終わった。そして、その日からアメリアはこれまで以上に妃教育に熱心に取り組むようになった。
