カランカランとベルの鳴る音がして、店の奥から「いらっしゃいませ」と声が飛んでくる。それを合図に中にいた全員の視線がこちらに集中した気がして、居心地の悪くなったアメリアは耐えきれず顔を伏せた。
帽子だって被ってるから、彼女たちを直視しなくて済む。けれど、彼女たちの反応が怖くて入口で固まったまま動けない。したくもないのに、ぴんと張り詰めた神経が敏感に様子を伺おうとしている。
他人の目を気にして日陰で生きてきたアメリアとは対照的に、自分のやりたいように真っ直ぐに生きてきた令嬢たち。お店に入っただけなのに、心臓がバクバクとうるさい。
住む世界が違うと、はっきり告げられた気分だ。いっそこのままUターンしてしまいたいとさえ思ってしまう。そんな弱い自分に自己嫌悪していれば、ひそひそと話す声が聞こえてくる。
「ねぇ、もしかして噂のコリンズ嬢じゃないかしら」
「やだ、わざわざ一人で何しに来たの」
「お揃いのものを持ってたら馬鹿にされてしまうわ」
「いつも顔を隠してるなんて気味が悪いわね」
不躾な視線、遠慮のない悪口。聞こえても構わないのだろう。アメリアが傷ついたとしても、彼女たちにとってそれは取るに足らない些細な出来事なのだから。
