目は口ほどに物を言うと言いますが 〜筒抜け騎士様は今日も元気に業務(ストーカー)に励みます〜


 「アメリア様、こちらを」
 「あ、ありがとうございます」


 男はスリだったのだ。
 ぶつかった際にアメリアが身につけていたブローチを盗んでいたらしい。

 目の前に跪いて恭しく差し出されたブローチを見て、驚くと同時にほっと息を吐くアメリア。

 彼女からのお礼に口角を上げたルーカス。
 柔らかい微笑みにアメリアはドキドキしながら会話を続けた。


 「この頃、よくお会いしますね」
 「最近いつも貴女のことばかり考えているので、自然と足が向いているのかもしれません。不快にさせてしまったらすみません」
 「……?」


 社交辞令でもなんでもない、ただの事実である。
 だが、彼がストーカーであることを知らないアメリアは言葉の意味を理解できず、首を振った。


「騎士様に守っていただけるなんて、喜ぶ方はいても嫌がる方はいませんよ」
「アメリア様も?」


 小さく頷けば、ルーカスは嬉しそうに破顔した。上機嫌になった彼は会釈をすると、そのまま男を連行する部下の元に戻ってしまった。


 アメリアは頬を紅潮させて、心のざわめきを鎮めようと必死になった。

 もう会わないと願ったはずなのに、街に来たら必ずと言っていいほど彼に出会してしまうのだ。これまでそんなことはなかったのに……。

 ルーカスに助けられた日から、彼が気になるせいで視界に入るようになってしまっているのかもしれない。


 (もしかしたら、これまでもお見かけしていたのかもしれないわ……)

 でも、それなら令嬢たちが騒いでいるから気がつくはずなのだけれど。
 アメリアは彼女には決して解けない簡単な謎についてうーんと考え、首を傾げるばかりだった。