――あ。
いつもの無表情を貼り付けた横顔。
彼が誰かを認識すると、一気に鼓動が速くなった。
行き交う人々を押しのけて逃げる男。
ひらりと身軽に交わしながら追いかけるルーカス。
普段から鍛えているであろう騎士の実力は本物で、あっという間に追いついてしまった。
ルーカスの後を追いかけてきた部下に引き渡すと、彼はその場に居合わせた人たちの賞賛を浴びた。
「街の平和のためにいつもご苦労さまです」
「流石ルーカス様よね」
口を一文字に結んだルーカスはそれに答えることもせず、アメリアの元にやってきた。
(どうしてこちらに……?)
困惑するアメリアは、迫ってくるルーカスから逃げ出してしまいたい気持ちと葛藤する。
