あっちに行けなんて、言われなくてよかった。
そうアメリアは内心ほっとしながら口を開く。
「便箋を探してるんです」
「それなら沢山用意があるよ」
気前のいい店主が、後ろの荷物から両手いっぱいの便箋を出してくれた。
見ているだけでワクワクしてしまって、どれがいいかなって悩んでいるうちに時間はあっという間に過ぎてしまいそう。
うーんと吟味しながら唸っていれば、先を急いでいたのか、小走りした粗暴な男にぶつかられてしまう。
「お嬢様……!」
小柄なアメリアはその勢いによろめくも、咄嗟に助けに入ったアマンダのお陰で転ぶことはなかった。
「もう、危ないわね」
「時々いるんだよ、ああいう奴」
アマンダと店主が背後で憤慨しているのを聞きながら、アメリアは立ち尽くす。
何の謝罪もなく、こちらを見向きもせずに立ち去っていく後ろ姿を見つめていると、濃紺のコートを着た男が風のようにアメリアの横を駆けていく。
