「親愛なるアメリア様、私の名はルーカス・ウォード、以後お見知り置きを」
騎士らしく頭を垂れたルーカスは、恭しく手の甲に口付ける。
途端にアメリアの心臓が飛び出してしまいそうなほど、早鐘を打つ。
動揺したアメリアは返事を返すこともできず、全身を朱に染めることしかできなかった。
嗚呼、ベールを被っていてよかった。
顔が真っ赤に染まっていることに気づかれなくて済むから。
(ルーカス様……)
騎士団長の元に戻っていく後ろ姿を、ぽーっと見つめるアメリア。
心の中にぴょこんと恋の芽が生えたことには、まだ気がついていなかった。
