「エマ、そろそろ帰りましょう」
「そうね、この辺りも騒がしくなってきたし。暗くなる前に帰った方がいいわ」
「じゃあ、ここでお別れね」
またねとエマに手を振ってアメリアが道路を渡ろうとすると、数メートル後ろにいた馬車が突然暴走し始める。
「危ねぇ! 退いてくれ!」
何かにびっくりして興奮しきった馬が言うことを聞いてくれないらしい。
必死に御者の男が叫んでいるけれど、咄嗟のことにアメリアの身体は恐怖で固まってしまう。
自分より何倍も大きなものが、どんどんスピードを上げて迫ってくる。
それがわかっているのに強力な接着剤を付けられたみたいに、地面に足が引っ付いて離れない。
「エイミー!」
エマの悲壮な叫び声も聞こえてくる。
