拓斗の言葉に、胸がじーんとする。
「あと俺、音寧のこと大好きなんで」
嬉しいこと言ってくれるなぁ。
「まあ! そんなふうに言ってくれるなんて。ありがとうね、拓斗くん」
なんかママまで感激しちゃってる。
「ほら、音寧。早く朝ご飯食べちゃって。拓斗くんも、良かったら食べていって?」
「ありがとうございます。いただきます」
拓斗が笑顔でわたしの隣に並んで座り、私もいただきますと手を合わせる。
今日の我が家の朝食は、こんがり焼けたトーストと、ハムエッグ。それに、サラダとヨーグルトだ。
「ん〜っ! ママのハムエッグは何回食べても美味しい」
「ほんとだ。これ、美味いです」
大好きなママのハムエッグを食べているこの瞬間も、幸せを感じる。
「あっ、音寧。そのままじっとしてて?」
「えっ? なに!?」
拓斗に言われるがままに、わたしがじっとしていると。
すっと長い指に、口の端を拭われる感触がした。
「突然ごめんな。音寧のここに、ついてたから」
拓斗がトントンと、自分の唇の端を指で叩く。
「あっ、ありがとう」
まさか、わたしの唇にさっき食べたハムエッグがついていたなんて。
彼氏の前で、なんだか恥ずかしい。
「口の端に玉子がついてる音寧ちゃんも、とっても可愛かったよ」
拓斗の言葉に、わたしは思わず赤面してしまった。



