「んー?」
拓斗は頬杖をつきながら、とても優しい顔でこちらを見つめていた。
「どうしたの? 体調でも悪い?」
「ううん。音寧を見るのに夢中になってた」
「もう、拓斗ったらこんなところで何を言ってるの!?」
「あ。もしかして、照れてる? ほんと可愛いよなぁ、音寧は」
拓斗の言葉にわたしが照れくさくなっていると、熱くなった頬を指の腹で撫でられる。
「俺は今こうして音寧と一緒にいられるだけで、すっげー幸せだよ」
「……っ。わっ、わたしも」
わたしはモンブランへと視線を向ける。
「ねぇ、拓斗もモンブランひとくち食べる? すっごく美味しいよ?」
「ほんと? それじゃあ、ちょうだい?」
──雑貨屋さんで、自分の好きな金木犀の香りがする商品を見て。
カフェに来て、美味しいモンブランを食べて。
どれも幸せだな、と思う瞬間だけれど。
「音寧、このさつまいものケーキも食べる?」
「食べたい」
「じゃあ、半分こしよっか。はいっ。あーん」
何よりも、わたしがしあわせだな、と思う瞬間は……大好きな拓斗とこうして一緒に過ごしているとき。
【end】



