それから次の日も、放課後は誰もいない教室にふたりで残って、谷山先生の課題に取り組んだ。
昨日は日が暮れるまで教室で頑張って、家でも何枚かプリントをやったのに。
まだ終わらないなんて……多すぎる。
谷山先生が陰で生徒から、『鬼山』と呼ばれているだけのことはある。
「ねぇ、拓斗。この問題の解き方が分からないんだけど……」
「どれ?」
向かいに座る拓斗がわたしの解いている問題を覗き込む際に、たまたま互いの額がコツンと当たった。
あ……。
「ねぇ。もうしばらく、こうしていてもらっても良い?」
拓斗と少しだけくっついていたくて、ついそんなことを言ってしまった。
「ちょっとだけだぞ? で、どの問題?」
「これなんだけど」
「ああ、これはこの公式に当てはめて……」
嫌な数学の課題も、拓斗と一緒だと思うと頑張れた。
そして……。
「 「できたー!」 」
空が藍色に染まる頃。
わたしと拓斗は、ようやく全ての課題プリントを終えることができた。
「お疲れ、音寧」
「拓斗も、お疲れ様」
わたしたちは、どちらからともなく抱きしめ合う。
「明日の放課後は、昨日言ってたカフェに行こうな……改めて、約束」
わたしと拓斗はお互いの小指を絡め、指切りをした。



