わたしは、すぐそばに良い物があることに気づいた。
これを利用すれば、今より楽に拓斗にキスできるかも。
わたしは教室の椅子を拓斗の前に持ってくると、上靴を脱いでその上に立つ。
拓斗と目線の高さが近づき、わたしは拓斗の唇にようやく自分のものを重ねることができた。
キスのたびに思うけど、拓斗の唇ってほんと柔らかい。
もう少し、くっつけていたいなぁ。
「ん……音寧ちゃんよくできました」
拓斗が、わたしの頭をポンポンと優しく撫でる。
「そういえば、言い忘れてたけど。俺は今日音寧をかばったこと、後悔なんて全くしていないから」
拓斗……。
「だって、俺が音寧のことを守るのは当たり前だろ? 音寧が、嫌な思いをしなくてすんで良かったよ」
拓斗がふわりと微笑む。
「ありがとう、拓斗」
「明後日。この課題を無事に終えたら、今度こそデートしよう」
「うんっ!」
わたしは拓斗に笑顔を見せる。
「つーか、音寧からしてもらったキス最高だった。なぁ、もう1回して?」
「もう! 拓斗ったら……しょうがないなぁ」
わたしは椅子の上に立ったまま、誰もいない教室でもう一度拓斗にそっと口づける。
絶対に明日にはこの課題を終わらせて、拓斗とデートしてみせるんだから。



