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【カフカス領期年
ᛏᚺᛖ ᚣᛖᚨᚱ ᛏᚹᛖᚾᛏᚣ-ᛏᚺᛁᚱᛏᚣ-ᛏᚹᛟ】

ᛁᛋᛖᚲᚨᛁᚾᛁᚲᛁᛏᛖ ᚾᛁᚾᛖᚾᚷᚨᛋᚷᛁᛏᚨ

あたし
マイケル・楊が
この調整世界という異世界に、
大師に飛ばされ2年が過ぎた。

ᚺᚨᚷᛁᛗᛖᚺᚨ ᛃᚣᚢᚾᚱᛁᛋᚺᚨᚾᛟ ᚨᛏᚨᛋᛁᚷᚨ ᛁᛖᚹᛟᛗᛟᛏᛖᛏᚨ

初めは只の宿無しの巡礼者。
無一文のホームレスも同然。
しかも、
此のカフカス王領国民は全員
魔力を持っている。

あたしには、
そんな力もない。
『無一文の魔力なし』
それが、
元世界では華僑の令嬢だった
あたしの異世界での姿だった。

ᛁᚲᛁᚱᚢᛏᚨᛗᛖᚾᛁ ᚺᚨᚾᛏᛟᚹᛟᛋᚢᚱᚢᛋᛁᚲᚨᚾᚨᛁ

毎日その日を生きる為に、
海に潜って食糧と、
日銭になる物をハントする。

最初は持ち前の元世界知識で、
稼ぐ事が出来た。

それが上手く行かなくなったのは
異世界での初めての友人、
元奴隷の子供ヤオの
両親の存在。

今となっては、
彼等も家族の様に思っているけど、
本当に毒親だった。
それは仕方ないのない事情だと
解って、彼等の生活費を
稼ぐ様になったとしても、
その大変さに
どれだけ恨めしく思ったか。

歯をくいしばってやってこれた
のは、ヤオのお蔭だと思う。

ᚨᚱᛖᚲᚨᚱᚨ ᚾᛁᚾᛖᚾ
2年。

あたしは、漸く家を持てた。
ウーリウ藩島に住民権を得たのだ。

2ロクブで約1ドルと考える
貨幣感覚でいえば、
10ロクブが1ウーリ。
三食入浴付きベッド代は10ウーリが払えない毎日。

魔力の発達でインフラがない
異世界は、魔力なしには厳しい。

とにかく、魔力を付加しまくって
もらうしかないのに、
それも稼ぎがないと無理。

そもそも元世界に戻る為の門は、
ウーリウ藩島城の地下にあると、
大師は言っていた。

ᛋᛁᚱᛟᚾᛁᚺᚨᛁᚱᚢᛏᚨᛗᛖᚾᛁᚺᚨ ᚨᚲᛁᚾᚨᛁᚹᛟᛋᛁᚾᚨᚲᚢᛏᛖᚺᚨ

その為には何か始めて、
城に出入りできる商人になるとか
しかない。

其れを見越して、あたしは
この2年、藩島中を歩いた。
何か、販路がないか?
そのお蔭で、水龍の喉仏の骨との
出会いがあったのだけど。

水龍の骨の発見は、
この国の魔力に革命を起こしたのは、間違いない。

通常は、人から人へ付加してのみ
魔力が使えところを、
水龍の骨が魔力電池になるのだから。

だから、あたしにも魔力が使える
様になった。
直ぐに無くなるけどね。

いよいよ水龍の骨=魔充石を
使って、
本格的なインフラが敷かれる。
それと合わせて計画している、
魔力結界の大々的な
エネルギーロードの確立。

藩島中を歩きながら、
気が付いた違和感。

あたしは、どうして此処に
飛ばされたのか?
そしてどうして、
元世界に必ず戻らなくては
いけないのか?

もしも、
あたしが頭に感じている
警告が間違いないのならば、
国防の為の結界は
在り方を考え直すべきなのだ。

この調整世界は、
あたし達の元世界と繋がっている
から。


かつて華僑は、世界中をまずは
港から制覇して財を成してきた
民族だ。

何も持たない先祖は、
通訳などを始めたのだから、
これからも
あたしは身体を資本に、
知識を武器に鈴村すしかない。

ᛏᚨᛗᚨᚾᛁᛟᛗᛟᚢ ᚲᚨᛖᚱᛖᚱᚢᚾᚲᚨᚹᛟ

あたしが行方不明になった日本では、行方不明は7年で死亡届けを
出す。
婚姻も白紙に戻るのだ。

あたしも、このまま元世界に
戻れなければ、

元世界で
死人になるのだろう。


【ᛃᚢᛚᚣ月ᚠᛁᚱᛋᛏ日 ᛗᛁᚲᚺᚨᛖᛚ・ᚣᚨᚾ】

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