『カフカス王帝領国、衛星島スカイゲートが主テュルク帝弟将軍
子息ガルゥヲン・ラゥ・カフカスに、
カフカス王帝領国、次期王帝
第一次継承権を
我、最神官アゥベアライナ6世が授ける。神の加護あらん事を。』

ガルゥヲンは、
カフカス王帝領国に於いて
最も高尚と謳われる聖域聖堂、

マザーエリベス・カテドラルの
大祈祷ホールで祈りを
一見
独り捧げている。

此の場所は半年前に
急遽、
ガルゥヲンがウーリウ藩島から
召集され、
成人の儀を執り行われた処。

其して、、


『帝国の皇子を
勇者の旗印と成し、魔導の者
聖職の者と共に 封印の宮に
導きたまえ。もし、
叶わねば、国から魔叡智は
去り国土崩壊となるだろう。』

カフカス王帝領本土の
大神官より出された
極秘の神託降臨の場所でも
ある。

此の神託が降りるや否や、
カフカス王帝宮殿の
最奥で、
現王帝と最神官の元
話し合われたのは

王帝の継承順位が入れ替え。

現皇子アラャラスの継承権を
繰り下げと共に。

ウーリウ藩島から召集され
ガルゥヲンと、
父であるウーリウ藩島帝弟将軍
テュルクは、
宮殿の最奥で4人のみの元、

ガルゥヲンが
継承権第一位に繰り上げられる
との変更と、
其の真の意味を
告げられた。

此の事が意味するのは、

魔力無しの王族が役立つ時が
到来したのだと、
都合のいい王帝領本土側の
神託解釈。

体のいい国が為の供物の
すげ替えだった。


『封印の宮には古来の闇がある』

中に入れば
一方通行の旅路となる。

父テュルクは、
実の兄の決定に
烈火の如く怒りを露にした。


ゴーガラーーーーーーーン
ゴガラーーーーーーン

ゴガラーーーーン


マザーエリベス・カテドラルの鐘が礼拝ホールに響き渡る。

今日から1年、
ガルゥヲンは御祓に入る。
此の祈りも其の一部。

神託の公表は混乱を避ける為に、
『封印の宮』に入る1週間前。

ただ共に宮に入る人選だけは、
ガルゥヲン以外、
これから
全てを伝えられる。

祈る
ガルゥヲンの頭にあるのは、
敬虔な言葉では無く
半年前の光景。

父テュルクが己の代わりに、
贄になると言い、
最愛を又失いたくないと懇願した姿。

結局、
テュルクの魔力量無くして
ウーリウ藩島の統治は出来ず、
神託が結実成されない時の責を
取る事となる。


ゴーガラーーーーーーーン
ゴガラーーーーーーン

ゴガラーーーーン



そして今、
神託の残る、
『魔導の者』と『 聖職の者』の
人選が本人に告げられた頃。

自分と共に生け贄となる2人。

ガルゥヲンが気配に、
祈りに垂れる頭を静かに上げる。

其処には、

表情を抜け落とした
青年の姿が

泣き叫ぶ聖女の声を背景音に

漂う。