絶頂を感じる時………まるですべてが幻かのような快感を得られた。山の頂上に上り詰めて

弾力性のある粘着性の液体と一緒に蝕まれている時、幸せを感じた。





とあるバーであの人と出会った。鼻のピアスが印象的な黒髪ロングでパーカーがよく似合う人だった。私はとにかく彼女に話しかけてみょうと思った。友人にトレンチコートの後ろに落書きをしてもらい、彼女に近づいた。

「すみません。悪戯されたみたいで、背中みてくれませんか?」彼女はとぼけがおで私の背中を黙ってみてくれた。すると彼女は鼻で笑うように、ほほえんだ。そして右手に持ったワインを飲み干し「きな」といい放ち私のてをつかんで、バーのいりぐちに向かっていった。





外では怪しい黒人がたむろって、夜になっていた。私がこのバーに入った時はまだ明るかった。暗くなる前に帰ってきなさい。と言った母の顔が頭を過る。だけど一度だけならいいよね。と言い聞かせて、そのトビラを私は開いていた。



彼女といると黒人がたむろするなかでも怖くなくて歩けた。たまに黒人とぶつかるけど彼女は睨みを聞かせて、何もさせなかった。彼女の手は私と同じくらいの柔らかさなのに

少しだけ固く感じた。彼女の名前を聞いてみょうと思った。



「からす」



からす?名前はからす。だったら私はふくろうなどと言い返した。「それいいね」とにやりと笑い。気がつくと目的地に到着していた。



扉は開き鍵を受け取り、部屋の扉を開けた。

からすはパーカーのぼたんをちゅうちょなくすとんと落とし、あっという間に丸裸になっていた。下の黒い毛、油断だらけの乳房とのギャップに私は恥ずかしくなった。からすは

私に近づいていく。息づかいは確かに私と同じなのだけど、それ以上のところへつれていってくれると確信した。だから私は待った。

からすが最初に放つ第一声を、。



からすの手は私のムネヘ



「………脱いで」からすは囁く。からすは私の首筋にゆっくりと吐息を吹き込みながら舌で味わうようになめる『私を食べてるの?私って美味しいの?』聞いてみたい。だけど聴けばすべてが台無しになる。だから私はゆっくりと力を抜けた声を出した。からすの舌は私の首筋にきたところで、私の声は頂点を極めた。呼応するかのようにからすは私の服のボタンを一つ一つはずしていく。私が求めているものを彼女は知っている。けっしてその境界の先を越えすぎてはならない。かといって戻れば退屈で痛い日常になっていく。微妙な力加減でそれは台無しになっていくのだから、並大抵の感受性を持ち合わせてないと、できない芸当だ。境界の線の上を歩かなければならないのだから……それを彼女はなんなくやってのけていた。…………もっと、もっと、と思いながら私は声を出し続けた。からすの目は

遠くを見ているようで、凛々しくて美しいと

思った。





それがからすと初めての夜だった。そして

私達は付き合いだした。お互いの本当の名前を語らずに、からすとふくろうとして付き合いだした。………それが18歳、私の始めての恋人だったと思う。