キラリは美麗にさんざんもてあそばれてすっかり疲れてしまった。

いったいあの人何だったんだろう………
あんな凄い占い出来るなんて、超能力としか思えない………
でも………翼は元気にしてるって言ってたし………それが聞けただけでも良かった………

翼………

会いたい………

きっといつか………

また会えるよね……………




~翼の実家~


美麗は実家に戻って翼の元へやって来た。

美麗「翼~!会ってきたわよ!キラリちゃんに」

美麗は愉しそうにそう言った。

そこへ母も現れた。

翼「はぁ!?本当に会って来たのか?ちゃんとバレないようにしてくれたの?」

美麗「もちろん!全然大丈夫!」

翼「それで?キラリは元気だったの?」

美麗「それがさぁ~………」

美麗はキラリとのやり取りを面白おかしく話して聞かせた。

美麗「いやぁ、翼~………あの娘マジで良い娘じゃん!私もあの娘気に入っちゃったよ!あんなイジり甲斐のある娘初めて見た!一つ一つに私の思った通りに反応してくれて、すっごく愉しかった!あんな可愛い妹が欲しい!」

翼「おいおい………どんだけ苛めて来たんだよ………」

美麗「でね、翼のことどう思ってるかも聞いてきたよ。キラリちゃん………ほんと純粋………健気で小さな子供みたいだわ。翼のことが凄く好きなんだって!翼のこと語ってる時も、涙ぐんだりなんかしちゃって………もうこっちが切なくなってきちゃう………」

母「あらぁ、それは私も是非お会いしてみたいわ!」

美麗「翼、早く迎えに行ってあげなきゃキラリちゃん可哀想だよ?」

翼「姉貴………どうやって接触して来たんだよ?よく初対面でそこまで話せたな………」

翼はいったいキラリと美麗の間にどんなやり取りが行われていたのか、少々不安を覚えた。

美麗「でも………確かに翼の言う通り、お父さんがキラリちゃんのことを受け入れられる可能性としては厳しいかも知れない………」

翼「だろ?そこが一番難しいところなんだよ………」

母「あら、それはどうして?」

美麗「あのね、お父さんて堅物でしょ?で、キラリちゃんはどっちかって言うと可愛いんだけど少し素行が良くないっていうか………」

翼「そうなんだよ………体裁気にする親父にとってそこが致命傷なんだよな………」



一方翼の父も、おかかえの探偵にキラリの身辺調査に当たらせていた。

そして、その調査結果の途中報告が翼の父の元へ届けられた。

翼の父はその書類に目を通して思い悩んでいる。


うーん………お相手はまだ女子高生かぁ………それに………両親はちょっと色々と問題がありそうだなぁ~………
これは少し難しい問題が山積みだぞぉ……………
我が社を背負う翼の相手としては………認める訳にはいかんなぁ………
はて、翼をどう説得したものか………



~翼の部屋~



〝コンコン〟

母「翼?ちょっと良いかしら?」

翼「いいよ、入って」

翼の母はお菓子とジュースを持って翼の部屋に入った。

母「ねえ………翼………」

翼の母は何か言いにくそうに切り出した。

翼「うん………」

母「先ほどお父さんからお話しがあって………」

翼「うん………」

母「私の方から何とか翼に上手く説得するように言われたんだけど………」

翼「だろうね………あの親父がそう簡単には納得してくれないことぐらいわかってたさ。でも、それならそれで俺も強行手段に出るしかないってだけだよ………」

母「翼………そう慌てず………もう少しお父さんを説得する手段を一緒に考えましょうよ………」

翼「お母さん………今こうしている間にも、キラリはきっと色々悩んでいると思うんだ……俺はキラリに何も言えずにここに連れ戻されたんだからさ………だから……キラリに早く何かしらの答えを出して上げなくちゃ………」

母「えぇ………それはわかっているんだけど……」

そのとき翼の父がここへやって来た。

〝コンコン〟

父「翼……少し話せるか?」

翼が返事をしないので、父は黙ってドアを開けた。

父「翼………お前の気になるお相手のことは今調査中だ………だが………やっぱり俺はお前に考え直してもらいたい!もちろんお前の気持ちは俺にも痛いほどわかってるつもりだ。だが、お前もお相手のお嬢さんもまだ若い!将来を考えるには少し時期尚早だ。若い時というのは誰だって突っ走って道を踏み外すこともある。だがな、ウチの嫁にはもっと相応しい女性が現れるはずだ。だから………」

翼「結局親父はいつもそうやって俺の話しなんか少しも聞いてくれようとはしないんだよな!俺は言ったはずだよ?これは譲れない条件で、親父が俺の条件をのんでくれないのなら、俺も今回ばかりは絶対に譲る気は無い!親父も偏見の目でキラリのことを決めつけ無いで、一度キラリのことをちゃんと見てくれよ!一度会ってちゃんとアイツのことを見てくれれば、親父もきっと認めてくれると思うんだよ!それに、俺は家の為に結婚相手を選ぶつもりは無いからな!」

父「だがな翼………お前はこれから我が社を………」

翼「親父は息子の幸せ以上に会社のことの方が心配なんだろ?だったらもう話す余地は無いな!」

翼は啖呵(たんか)切って部屋を飛び出してしまった。

母「翼~!」

父「困ったものだな翼は………」

母「ねぇ、あなた………一度お相手のお嬢さんにお会いしてみたらいかがかしら?」

父「お前まで………」