「いらっしゃい。どうぞ、上がって。」
紗良ちゃんを 抱いた鈴香が ドアを 開けてくれる。
「わぁ。紗良ちゃん。大きくなったね。」
鈴香に抱かれた 紗良ちゃんは
私に 笑顔を向けてくれた。
しばらく 近況報告を しているうちに
紗良ちゃんは お昼寝の時間になって。
紗良ちゃんを 寝かしつけた鈴香が 戻ってくる。
「どうしたの。わざわざ ここまで 来るなんて。何か あったの、由紀乃?」
熱いお茶を 淹れ直した 鈴香は
私と向かい合うと 単刀直入に 聞いてきた。
「うん…実はね、鈴香。私 今 ハタ君と 付き合っているの。」
私も もう 何の前置きも しないで 言った。
「……っつ。嘘でしょう…」
想像以上に 驚いた鈴香は 一瞬 絶句する。
「嘘じゃないの。」
私は 俯きながら 小さく答えた。