忘れなきゃとか、もう考えるのはよそう。
そんな事を考える時間がもったいない。
思い出は、忘れようとか、忘れなきゃとか、そういうものじゃないから。
「クロエさん…ありがとうございます」
「……何もしてない」
クロエさんが寝転び、体温が離れていく。
白いシーツに、白いシャツを着たクロエさんが綺麗に混ざり合う。
「してますよ」
「アオイが話してくれただけで、何もしてない」
「充分してます。
初めて、こんなに話しました……。
なんだか、すっきりしました」
クロエさんは背を向けると、身体を丸めた。
オーバーサイズのシャツからは、ちょこんと指先が除いている。
「………話すと、変わるもの?」
「はい。話したら、軽くなりました」
―――クロエさんも、もし何か話したい事があったら話してください。
そんな風に、言えたら良いのに。
そんな事は言えない。
クロエさんはきっと……自分に話したりはしない。
「………オレも……話してみても、いい?」
自分の耳を疑った。
だけど、聞き間違いじゃない。
そんな事を考える時間がもったいない。
思い出は、忘れようとか、忘れなきゃとか、そういうものじゃないから。
「クロエさん…ありがとうございます」
「……何もしてない」
クロエさんが寝転び、体温が離れていく。
白いシーツに、白いシャツを着たクロエさんが綺麗に混ざり合う。
「してますよ」
「アオイが話してくれただけで、何もしてない」
「充分してます。
初めて、こんなに話しました……。
なんだか、すっきりしました」
クロエさんは背を向けると、身体を丸めた。
オーバーサイズのシャツからは、ちょこんと指先が除いている。
「………話すと、変わるもの?」
「はい。話したら、軽くなりました」
―――クロエさんも、もし何か話したい事があったら話してください。
そんな風に、言えたら良いのに。
そんな事は言えない。
クロエさんはきっと……自分に話したりはしない。
「………オレも……話してみても、いい?」
自分の耳を疑った。
だけど、聞き間違いじゃない。


