夏の終わり、月光で花開く黄金色に輝くひまわり畑にたたずむ。防御魔法が織り込まれた夜色の魔女ワンピースを着て、箒を持ち。


祈るように、あの日渡してくれた手紙を想い出す
  

『飛べるようになったら、将来一緒に郵便屋さんをやろう』



 大きな満月に向って、思いっきり駆け出し、トン……と地面を蹴る。ふわりと浮かび上がる身体。


 空から見下ろしたひまわり畑は、美しい黄金色の海が広がっている。お兄さんが教えてくれた言い伝え。


 飛べない魔法使いが飛べるようになった、そしてその魔法使いは、今ではアカデミーで一番の魔法使いになったと。



お兄さんがあの日くれた夢の輝きは、ここにある。



わたしはもう、飛べない魔女じゃない。