真っ直ぐに他人の目を見て、思ったことをはっきりと伝えられるリアンのことを羨ましくも思った。自分もそうだったらいいのに、と。
ようやく笑えるようになったクローディアを見て、リアンは安心したように微笑んだ。
「笑ってなよ。そのままずっと」
柔らかな声音に、クローディアの鼓動が早鐘を打ち始める。分へと向けられるリアンの微笑みが美しくて、肺の辺りがぎゅうっと締め付けられるように痛んだ。
「変な顔してたら、せっかくの美人が台無しになるしさ」
「へ、変な顔…?」
変な顔とはなんだ、変な顔とは。もう涙は止まっているというのに。
もしや自分が気づいていないだけで、変なところがあるのではないかとクローディアは慌て出した。
そんなクローディアを見てリアンはくすくすと笑うと立ち上がる。
「……あ」
そうリアンが声を上げると同時に、ホールからワルツの前奏が流れ始めた。それを聞いたクローディアは、ハッとした顔をして立ち上がる。
「…どうしましょう」
突然立ち上がったクローディア見て、リアンは不思議そうに首を傾げた。
「……もしかして、俺と同じくデザート食べ損ねた?」
デザート以前にお昼すら食べていないと言いかけたが、クローディアはゆっくりと深呼吸をして言葉を封じ込めた。
どうもリアンと話していると調子が狂うのだ。


