この関係に名前を付けるならば、家族だ。だけど世の中でありふれているものと、ふたりの間に結ばれてついたその名は、同じのようで少しだけ違っていた。
けれど、それで良いのだと今は思う。おはようとおやすみを誰よりも近くで伝え合い、病める時も健やかなる時も支え合っているのだから。
「ああーー!!なんということだ!!!」
この春に大急ぎで改装された大聖堂に、この世の終わりのような声が響き渡る。それを間近で聞いてしまったエレノスは柳眉を寄せながらも、声の主の頭をポンと優しく叩いた。
「今度はどうしたんだい? ローレンス」
「ああ!兄上!聞いてくれたまえよ!」
弾かれたように振り向いたローレンスは、両手いっぱいに抱いていた色とりどりの花々をエレノスの前に突きつけると、どれもこれも美しくて選べないのだと項垂れている。
一度機に様々な花の香りを嗅がされたエレノスは咽せてしまい、涙目になりながら花を見ることになったが、その中からある花を見つけ、一輪抜き取った。
「この花を中心に、ブーケを作ってあげるといい」
「……さすがは兄上! 今から作れば間に合うだろうか?いや、間に合わせてみせる!!」
約束の刻までもう猶予がないというのに、大慌てで駆けていったローレンスをエレノスは苦笑しながら見送った。
けれど、それで良いのだと今は思う。おはようとおやすみを誰よりも近くで伝え合い、病める時も健やかなる時も支え合っているのだから。
「ああーー!!なんということだ!!!」
この春に大急ぎで改装された大聖堂に、この世の終わりのような声が響き渡る。それを間近で聞いてしまったエレノスは柳眉を寄せながらも、声の主の頭をポンと優しく叩いた。
「今度はどうしたんだい? ローレンス」
「ああ!兄上!聞いてくれたまえよ!」
弾かれたように振り向いたローレンスは、両手いっぱいに抱いていた色とりどりの花々をエレノスの前に突きつけると、どれもこれも美しくて選べないのだと項垂れている。
一度機に様々な花の香りを嗅がされたエレノスは咽せてしまい、涙目になりながら花を見ることになったが、その中からある花を見つけ、一輪抜き取った。
「この花を中心に、ブーケを作ってあげるといい」
「……さすがは兄上! 今から作れば間に合うだろうか?いや、間に合わせてみせる!!」
約束の刻までもう猶予がないというのに、大慌てで駆けていったローレンスをエレノスは苦笑しながら見送った。


