「クローディア!!!」

「ディアッ!!」

「ッ……フェルナンド殿下! 何をされるのですか!」

人質に取られたクローディアを見て、リアンと兄たちが声を荒げる。片腕だけだというのに、凄まじい力で首元を絞められていたクローディアは苦しさから顔を歪め、呻き声を上げた。

そのままクローディアを引き摺るようにして、教団の騎士たちがいる方へとフェルナンドは後退りすると、アウストリアの皇族たちが揃って焦った表情でいるのを見て、また高らかに笑った。

「全員その場から動くな。一歩でも動いたら、クローディアを殺す」

「なっ…!!」

「クローディアの命が惜しければ、私の言うことに従ってもらおう」

皇帝の護衛として控えていた騎士たちが、騒ぎを聞きつけ駆けつけてきたが、ルヴェルグが手に持っていた剣を放り投げたのを見て、それに倣うように武器を手放した。

「フェル、ナンドッ…」

クローディアは必死に抵抗したが、男であり武術を嗜んでいるフェルナンドの力には敵うはずもなく、為す術もないまま引き摺られていく。

ホールの出入り口の前で手と脚を縄のようなもので縛られ、抵抗することすらできなくなると、クローディアはフェルナンドに横抱きにされて外へと連れて行かれた。

「私をどうするつもりなのっ…?!」

「まだどうもしない。…まだ、な」

フェルナンドは青色の瞳にクローディアを映すと、静かに笑った。