フェルナンドは虚な目でリアンを見ていたが、何がおかしいのか、高らかな笑い声を響かせた。

「ふふ、はは…ははっ、はははっ…!!!」

「──何が可笑しい」

「愉快で仕方ない!」

フェルナンドは剣を持っていない方の手でリアンの手首を掴むと、勢いよく後方に突き飛ばした。

その光景を前にして、隠れてなどいられなかったクローディアは、ドレスを翻してリアンの元へと駆け寄る。

「リアン!!」

だが、クローディアの前にフェルナンドが立ちはだかった。

待っていたと言わんばかりに、フェルナンドは両手を広げ、不気味な笑みを飾る。

その向こうで項垂れていたエレノスが顔を上げ、クローディアの名を呟いた。無事だったことに安堵したのか、もう一雫の涙をこぼしている。

「──会いたかったよ。クローディア」

「……私は貴方に会いたくなんて」

「いいや、会いたかったはずだ! お前の伴侶は私でなければならないのだから!」

フェルナンドは嬉々とした表情でそう言い放つと、クローディアの首元に片腕を回し、その首筋に剣を当てた。