死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる


それでもルヴェルグは構わなかった。同じ血を引く妹には敵わなくて当然だと思い、家族として愛情を持って接してくれればいいと。ずっと仲良く助け合っていけたらいいと思っていたが、そう思っていたのはルヴェルグだけなのかもしれない。

「──申せ。そなたはローレンスを拉致した輩と関わりがあるのか? 現場にはオルヴィシアラの矢が落ちていたのを知っているか? 此度オルヴィシアラに行っていたのは、何をする為だ?」

「それ、は……」

誰もが知りたかったことを早口で捲し立てたルヴェルグは、腰に佩いていた剣を抜き、エレノスの首筋に当てがった。

銀色の刀身が陽に照らされ、冷たい光を放つ。ルヴェルグの瞳はじりじりと燃え盛る炎のような強い光を宿していた。

「そなたは私の半身同然であることを理解しているのか? 私が死んだら、この国を導いていくのはそなたなのにっ…!」

「───お止めください、皇帝陛下」

今まで一言も発さなかった男の声が、その場に響く。
何故かエレノスと共に来ていたフェルナンドが、剣を手にふたりの間に割って入った。

その光景を見て、耐えかねるものがあったのか──今まで柱の後ろに身を隠していたリアンが、クローディアの手を離して立ち上がった。

「リアンっ…?」

「ディアはここにいて」

リアンは口元だけで微笑うと、堂々とホールへ出て行った。