死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる



ルヴェルグの後を追い、リアンと共に謁見の間に向かったクローディアは、ホールの中央にエレノスの姿が見え、ほっと胸を撫で下ろした。だがエレノスの隣にはフェルナンドが、その背後には見慣れない格好だけれど武装している集団がいる。

先を歩いていたリアンがぴたりと足を止める。リアンはクローディアを引き寄せ、二人は大きな柱に身を隠すようにして向こう側を伺った。

「あれは……教団の騎士団だ」

「王国は軍を持っていないのではないの?」

「あれは軍じゃない。見た目も中身も軍と変わらないけど、教団の手足になって動いてる奴らだよ」

教団の警護、任務の手伝い、異端者を捕縛したりするのが主な仕事だとリアンは語った。だが鎧も剣も纏っているし、人を斬ることも厭わない彼らは、騎士ではないと誰もが思っていると言う。

「俺が知る限りでは、国を出たことはないはず。何しに帝国に来たんだろう」

それに、とリアンは低い声を出す。

「どうしてエレノス様は……黒装束を」

「黒装束?」

クローディアはもう一度エレノスの服装を見た。

エレノスは襟のあるロングコートに、フリルのようなタイが光るブラウス、ショートブーツを履いている。それらは全て黒く、改めて見ると上から下まで黒い服を着ていた。長い銀髪は結われておらず、さらりと後ろに流されている。

いつも白や淡い色を服を好んで着ていたエレノスは、黒い服もよく似合っているが──見つめているうちに、クローディアはリアンの言葉の意味を理解した。