死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる

そこには事件当日の目撃証言から、後日行われた大規模な捜査のことが記されていた。淡々とした文で書かれていたが、文字を追っていくにつれ、あの日の光景が蘇ってくる。

半壊した建物、痛みで苦しむ子供の鳴き声、燃え盛る炎。息をすることすら苦しかったあの時のことを忘れることはないだろう。

クローディアは書類から顔を上げた。

「ほとんどの子供たちは外で遊んでいたけれど、建物内にいた子供は怪我をしていたわ」

爆発に巻き込まれ、怪我をした者はほんの数名だったのが不幸中の幸いだ。多くの子供たちが外で遊んでいて、難を逃れたが、何の罪もない子供を巻き込んだ犯人を許すことはできない。

「物資を孤児院に届けたのは、あの地域の運送を担当している第八騎士団の者たちだ。いつもの時刻、場所で、いつも通りの仕事をしたという」

何者かが物資に爆発物を混ぜ、国一の規模の孤児院を爆発させた。偶然にもリアンがあの場所に到着して間もない頃に。

「あれは、誰を狙ったのでしょうか」

淡々とした口調でリアンは問いかけた。その声音から行き場のない怒りを感じたクローディアは、唇をきゅっと引き結んだ。

ラインハルトと宰相も同じことを思っているのか、悔しそうな、悲しそうな表情でリアンを見つめている。

ただ一人、表情を変えなかったルヴェルグは組んでいた脚をほどくと、前を見据えたまま口を開いた。