それから四人はルヴェルグの執務室で宰相と合流し、防音壁で作られた隣室に移動した。人払いをし、ルヴェルグを中心に円形のテーブルを囲うように座る。

「二人とも、無事で何よりだった」

「ご心配をおかけしました」

ルヴェルグは眉を下げ、心臓が止まる思いだったと呟くとクローディアの頭を撫でた。その隣にいるリアンには優しく微笑いかけ、肩にそっと手を置く。

「事故の時の話は現場にいた者達から聞いた。突然時計塔が爆発したそうだな」

「はい。あれは事故だったのですか?」

「人為的に起こされたものだ」

やはり、とリアンは目を伏せる。爪が食い込む勢いで掌を握りしめたリアンを見て、クローディアはその手に自分の手を重ねた。

そんな二人を見て、ルヴェルグは一瞬だけ口元を緩めたのち、淡々とあの事故のことを語り始めた。

「調べによると、数日前にあの孤児院には物資が届けられたそうだ。送り主は国が定期的に送っている支援機関だったから、シスター達はすぐに中を確認しなかったらしい。…その結果、気づかずに仕掛けられていたものがあの事故を起こした」

「現場からは火薬の跡や燃えやすい植物、油を吸ったと思われるものも見つかっています」

宰相は銀縁のメガネを指先で少し押し上げ、紙の束をリアンに差し出した。それを受け取ったリアンはクローディアにも見えるように広げ、目を通していく。内容は事故の調査報告書だった。